「AIに『ストップウォッチを作って』とお願いしたら、思っていたのと少し違うものが出てきた」。AIに作業を任せるとき、こうした方向性のズレは誰もが経験します。

実は、AIコーディング(AIに何かを作らせること)の本当の価値は「速く作れること」だけではありません。むしろズレを早い段階で見つけられることにあります。この学習編では、そのための2つの仕組み——Planモード/goal——を紹介します。

ひとことで言うと:Planモードは「作り始める前に計画書を見せてもらう」仕組み(=設計図レビュー)。/goalは「◯◯ができたら終わり」という完了条件を渡して、達成するまでAIに自走させる仕組み。前者は実装前にズレを直し、後者は実装中に完了まで走らせます。
操作はすべて Claude Desktop アプリで行います。 本シリーズは、アプリを開いて上部の「Code」タブから操作する前提です。ターミナル(黒い画面)やコマンドの打ち込みは使いません。この記事は考え方の解説で、実際の画面操作は実践編で扱います。

このシリーズ(Claude Code を学ぶ)

  1. 基礎 ― 全体像と拡張機能の地図
  2. Skills(学習編)― 繰り返す手順を覚えさせる
  3. Skills(実践編)― 作って、つまずいて、直す
  4. Subagents(学習編)― 作業を別の文脈に切り出す
  5. Subagents(実践編)― 温泉宿を調べて比較する
  6. Hooks(学習編)― 特定のタイミングで自動実行する
  7. Hooks(実践編)― 編集したら自動でチェックを走らせる
  8. MCP(学習編)― 外部サービスへの接続口
  9. MCP(実践編)― Google ドライブ連携でつまずいた話
  10. Plugin(学習編)― 作った部品をひとつの箱にまとめる
  11. Plugin(実践編)― 便利設定を箱に詰めて配る
  12. Marketplace(学習編)― 箱を並べて配る
  13. Marketplace(実践編)― お店に公開し、取り込む
  14. 番外編 ― 拡張機能の選び方チートシート
  15. 拡張編① Agent Teams(学習編)― 複数のAIをチームで動かす
  16. 拡張編② Agent Teams(実践編)― 3人チームで多角的にレビューする
  17. 「これ実行していい?」が毎回つらい ― 権限モードと許可のバイパス
  18. マネジメント層のためのデスクトップアプリ入門 ― 非エンジニアのClaude Code
  19. API活用をスキル化する(学習編)― 反復作業を手順書にして再現する
  20. API活用をスキル化する(実践編)― タスク登録の流れを丸ごと再現する
  21. AIに動画をつくらせる(学習編)― スキルパックと外部APIの仕組み
  22. AIに動画をつくらせる(実践編)― スキルパックで動画を1本つくる
  23. Planモードと /goal(学習編)― 先に計画・完了条件で自走(この記事)
  24. Planモードと /goal(実践編)― ストップウォッチで試す
  25. ルーチン(学習編)― 定期的な確認作業をAIに任せる
  26. ルーチン(実践編)― 朝の確認作業を自動化する

Planモードとは ― 作る前に設計図を見せてもらう

Planモードは、AIがいきなりファイルを作り始めるのではなく、「これからこういう構成・手順で作ります」という計画書を先に提示してくれるモードです。

家づくりにたとえると、大工さんに家を建ててもらう前に設計図を見せてもらうようなもの。建ち始める前なら「この部屋をもう少し広く」と気軽に言えますが、建て終わってから言うと大きなやり直しになります。Planモードは、この「建てる前の設計図レビュー」をAI作業に持ち込む仕組みです。

/goal とは ― 完了条件を渡して自走させる

/goal は、「◯◯ができたら終わり」という完了条件を先に渡しておくと、その条件を満たすまでAIが自分で作業を繰り返し続けてくれる仕組みです。ここでいう「ターン」とは、AIが一区切りの作業をして返事を返す、その1回分のやり取りのことです。通常なら1ターンごとに人が次の指示を出しますが、/goal では人が指示しなくても次のターンへAIが自分で進みます。

掃除にたとえると、「掃除して」ではなく「ピカピカになるまで掃除して」と頼むイメージです。終わりの基準を明示することで、AIが自分で「まだ足りない/もう十分」を判断できるようになります。1ターンごとに別の評価役(達成度をチェックする役)が「完了条件を満たしたか」を確認し、満たせば自動的に終了します。経過時間や繰り返した回数なども画面で確認できます。

3つのアプローチの違い

同じ作業でも、「いきなり指示」「Planモード」「/goal」で、ズレに気づくタイミングが変わります。

観点いきなり指示Planモード/goal
ズレに気づくタイミング実装後(手戻り)実装前(計画段階)ターンごと(自動評価)
人の関与その都度、指示計画を1回レビュー完了条件を1回書くだけ
向いている場面自明な微修正中〜複雑な作業完了を判定できる長めの作業
手戻りのコスト高い低い評価役が担保

Claude Desktop での入り方

Claude Desktop では、チャット欄の左下にある許可モードの切り替えから Planモードに入れます。Planモードに切り替えた状態で依頼すると、AIはまず計画書を提示し、こちらが承認するまでファイルを作りません。

Claude Desktop のチャット欄左下にある許可モード切り替えメニュー。Planモードを選択している。
▲ チャット欄左下の許可モード切り替えから Planモードへ

/goal のほうは、チャット欄で /goal と入力し、続けて完了条件を書いて実行します。使い方の詳しい手順は実践編で扱います。

モデルが賢くなるほど、開発でのPlanモードの出番は減っていくかもしれません。 それでも Planモードは、アイデアのブラッシュアップや「見落としがないかの壁打ち」など、開発以外の相談ごとでも役に立ちます。「作る前に計画を見せてもらう」という発想自体が、AI活用の質を上げてくれます。

▶ 実践編につづく

次回は同じ「ストップウォッチWebアプリ」を題材に、Planモードで計画→承認→実装する流れと、/goal に完了条件を渡して自走させる流れの両方を、実際に試します。

Planモードと /goal(実践編)― ストップウォッチで試す →

まとめ

  • Planモードは、作り始める前に計画書を提示してもらう仕組み(設計図レビュー)。実装前にズレを直せる。
  • /goalは、完了条件を渡して達成まで自走させる仕組み。ターンごとに評価役が達成を判定する。
  • 「いきなり指示/Planモード//goal」は、ズレに気づくタイミングが違う。
  • Claude Desktop では チャット欄左下の許可モード切り替えから Planモードに入る。
  • Planモードは開発以外の壁打ち・アイデア整理にも使える。