前回の学習編で、Agent Teams は「リーダー+チームメイトで仕事を分担する仕組み」だと整理しました。言葉だけでは動きが想像しにくいので、今回は実際に Claude Code へ指示して動かして確かめます。設定の有効化からチームの起動まで、特別なコマンドは使わずすべて自然な言葉で頼むだけです。流れは3段階——2人チームの肩慣らし → 3人チームでの多角的レビュー → 並列でのアイデア探索です。

ひとことで言うと:設定ファイルに1行足して再起動するだけで、複数の Claude Code が「チーム」として同時に動き出した。同じプロジェクトを3つの視点で同時にレビューさせると、1人で順番に見るより視点の抜け漏れが減る。一方でトークン消費は跳ね上がるので、小さく・読むだけから始めるのが正解でした。

STEP0|まず「Agent Teams を有効にして」と頼む

Agent Teams は実験的機能で、初期状態では無効です。とはいえ、設定ファイルを自分で開く必要はありません。Claude Code 本人に、自然な言葉で「有効にして」と頼めば済みます。最初の指示はこれです。

Claude Code の Agent Teams 機能を有効にしたいです。 設定ファイル(~/.claude/settings.json)の env ブロックに、 CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS を "1" で追加してください。 既存の設定は消さないように。追加できたら中身を見せてください。

こう頼むと、Claude が設定ファイルを開いて、次の1行を書き加えてくれます。

{ "env": { "CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS": "1" } }

設定はすぐには効きません。反映には Claude Code の再起動が必要です。いったん終了し、もう一度立ち上げ直してください。これで準備完了です。

最初は練習用の空フォルダで。 いきなり大事なプロジェクトで試さず、空のフォルダを1つ用意してその中で Claude Code を開くと、既存のファイルを汚さずに肩慣らしできます。

STEP1|2人チームで肩慣らし

有効化しても、それだけでは何も起きません。チームは「最初のチームメイトが生まれた瞬間」にできあがります。起動の合図は専用コマンドではなく、ふつうの言葉で「こういう作業を、何人で手分けして」と頼むこと。いきなり本番に行く前に、まずは2人チームで「ちゃんと並列で動くか」を体感します。次のように頼みました。

2人のチームメイトで手分けして、次の2つを同時に進めてください。 チームメイト1: このフォルダ内のファイルを全部読んで、構成と        各ファイルの役割を一覧表にまとめて。 チームメイト2: README を読んで、はじめて見る人がつまずきそうな        点を3つ挙げて。 両方そろったら、まとめて報告してください。

すると Claude がリーダー(チーム全体をまとめる本体)として動き出します。チームメイトを立てる前にいったん確認を挟むので、承認すると2人のチームメイトが生まれます(人数まで指定して頼めば、確認なしでそのまま着手することもあります)。2人はそれぞれの作業を同時に進めました。立ち上がったメンバーは画面に一覧で並びます。作業画面を切り替えれば、ようすを見たり、追加で指示を出したりできます。逆に、Claude のほうから「これは手分けした方が速いですよ」とチーム化を提案してくることもあります。

軽すぎるタスクはチームになりません。 「今日の日付を教えて」程度だと、Claude は手分けする価値なしと判断して単独で済ませてしまうことがあります。チームを試すときは、上のように独立して並行できる作業を、人数を指定して頼むのがコツ。「2人いて、別々の作業を同時にしている」のが見えれば成功です。

STEP2|3人チームで多角的にレビューする

本番です。手元のプロジェクト(過去に作ったもので構いません)を開いた状態の Claude Code で、3人のチームメイトに別々の視点で同時にレビューさせます。手元に題材がなければ、先に「自己紹介サイトのサンプル(HTML / CSS / JS / README)を作って」と頼めば数十秒で用意できます。

使ったプロンプトはこちらです。

このプロジェクトを Agent Teams でレビューしてください。 依存関係を意識してタスクを細分化し、3人のチームメイトに割り当ててください。 (レビューは読むだけ。ファイルは編集しないこと) チームメイト1(使いやすさ担当):  はじめて見る人の視点で、README の分かりやすさ・ファイル構成・  コメントの充実度をチェックし、改善案を3つ。 チームメイト2(技術的な正確さ担当):  バグやエラー、ベストプラクティス逸脱、セキュリティ上の問題を  チェックし、指摘事項を3つ。 チームメイト3(不足の洗い出し担当):  必要なファイルが揃っているか、テストの有無、設定ファイルの妥当性を  チェックし、不足しているものを3つ。 全員の結果がそろったら、優先度順に整理してまとめてください。

動かして分かったこと

  1. 視点の抜け漏れが減る。 1人で順に見ると「使いやすさを見ているうちにバグ観点が薄くなる」といった偏りが出ますが、最初から担当を分けると各観点が一定の濃さで埋まりました。
  2. 「依存関係を意識して」の一言が効く。 これを入れると、リーダーが「まず構成を把握 → 各担当に配る → 最後に統合」と段取りを整理してくれます。丸投げよりも、束ね方が安定しました。
  3. レビュー(読むだけ)なら衝突しない。 学習編で触れたとおり Agent Teams にファイルのロックはありません。今回はあえて「編集しないこと」と明記したので、3人が同じファイルを読んでも問題は起きませんでした。
編集させるなら担当を分ける。 もしレビューでなく修正までさせるなら、「メンバーAは src 担当、Bは tests 担当」のように触るファイルを分けてください。同じファイルを同時に書くと、後から書いた方が前の変更を上書きしてしまいます。

STEP3|並列でアイデアを探索する(+Plan Approval)

最後は、レビューより一段“発散”寄りのタスク。新しい企画を3つの視点で同時に検討させ、さらに Plan Approval(着手前に計画を承認) を使ってみます。

新しいツールのアイデアを探索したいです。 テーマ:「毎日のタスク管理を楽にするツール」 Agent Teams で3人のチームメイトを作り、以下の角度から同時に考えてください。 チームメイト1(UX担当):  毎日使いたくなる体験を設計。便利なコマンド・出力イメージを含め、  機能アイデアを5つ。 チームメイト2(設計担当):  データの保存方法・外部連携・拡張性を踏まえ、技術スタック案を3パターン。 チームメイト3(反対意見担当 / Devil's Advocate):  このアイデアの弱点を徹底的に洗い出す。既存ツールとの差別化は?  使われない可能性は? 懸念点と対策を5つ。 全員の結果がそろったら、3視点を統合して「つくる/つくらない」の判断と、 つくる場合の優先機能トップ3をまとめてください。 なお、各チームメイトは作業を始める前に「計画」を私に提出し、 承認を得てから着手してください(Plan Approval)。

Plan Approval の効きどころ

各メンバーが手を動かす前に「これからこう進めます」という計画を出してきます。ここで方向がズレていれば、着手前に修正できるのが大きい。とくに「反対意見担当」は放っておくと粗探しが発散しがちですが、計画段階で「既存ツールとの差別化に絞って」と一言添えるだけで、出力が一気に締まりました。

発散タスクほど最初の方向合わせが効く。 複数メンバーが同時に走るぶん、ズレたまま進むと手戻りも人数ぶん増えます。Plan Approval は、その手戻りを入口で止めるブレーキです。

コスト感 ― ここだけは要注意

実際に回してみて、いちばん体感したのはトークン消費の速さです。チームメイトは1人あたり通常の数倍を消費するため、3人チームを何度も回すと利用量はあっという間に膨らみます。

  • 初回は2〜3人まで。いきなり大人数にしない。
  • まずはレビュー・リサーチなど「読むだけ」のタスクで練習する。
  • 「単純な1本道の作業」はチーム化しない——SubAgent や単体で十分。

まとめ ― “同時に・別の視点で”が刺さる場面で使う

  • 設定に1行足して再起動するだけで、複数の Claude Code がチームとして同時に動く
  • 多角的レビューやアイデア探索のように、独立した複数視点で同時に詰める作業ほど効果が大きい。
  • 編集を伴うなら担当ファイルを分ける。レビューなら「編集しない」と明記すれば衝突しない。
  • Plan Approvalで着手前に方向を合わせると、人数ぶんの手戻りを防げる。
  • コストは高い。小さく・読むだけから始め、単純作業は SubAgent に任せる。

これで Claude Code の拡張機能シリーズに、チームでの協調作業という新しい引き出しが加わりました。1人のAIに任せる/別室に切り出す(SubAgent)/チームで同時に動かす(Agent Teams)——作業の性質に合わせて、いちばん軽い手から選んでいくのがコツです。