Claude Code を使っていると、コマンドの実行やファイルの編集のたびに「これ実行していいですか?」と確認を求められます。安全のための仕組みなのですが、慣れてくると毎回の承認が地味につらい。「もう全部おまかせでいいのに」と思った方も多いはずです。
実は Claude Code には4つの権限モードがあり、確認の出方を自分で選べます。なかにはすべての確認を飛ばす「許可をバイパス」モードもあります。ただし、これは便利な反面、使い方を誤ると取り返しのつかない操作まで一瞬で実行されてしまう諸刃の剣です。この記事では、まず4つのモードの全体像をつかみ、そのうえで「許可をバイパス」のメリット・リスク・安全に使う条件を整理します。
そもそも、なぜ毎回きかれるのか
AIエージェントは、こちらの意図を取り違えることがあります。「いらないファイルを片づけて」のつもりが、必要なファイルまで消そうとする——そんな場面で実行直前に一度止まって確認してくれるのが、あの「実行していいですか?」です。つまりあれは安全ブレーキ。うっとうしく感じても、想定外の操作を水際で止めてくれる最後の砦です。実際の確認は、こんな見た目で出てきます。
▲ コマンド実行前に出る確認の例。「2」を選ぶと、同じ種類の操作は次から確認されなくなります。
ポイントは、確認は「全部か、ゼロか」ではないということ。許可した操作は記憶され、次からは黙って通る。だから本来は、確認を「飛ばす」前にどこまで自動で通すかをモードで選ぶのが筋です。
全体像 ― 4つの権限モード
まずは地図から。Claude Code の権限モードは、ざっくり次の4段階です。下にいくほど「確認が減る=速いが危険」になります。
| モード | 確認の出方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 通常 (default) | 編集・コマンドのたびに確認 | ふだん使い。迷ったらこれ |
| 編集を自動承認 (accept edits) | ファイル編集は自動。コマンド実行は確認 | 編集を連続でこなしたいとき |
| プラン (plan) | 編集も実行もしない。計画を提案するだけ | 方針だけ先に固めたいとき(読むだけ) |
| 許可をバイパス (bypass permissions) | いっさい確認しない。すべて自動実行 | 隔離環境での自動作業(要注意) |
切り替えは Shift+Tab
通常・編集を自動承認・プランの3つは、入力欄で Shift+Tab を押すたびに順ぐりに切り替わります。いまどのモードかは、画面下のステータス表示で分かります。
▲ Shift+Tab を押すたびに、画面下の表示がこのように変わります。表示が出ていなければ通常モードです。
一方、「許可をバイパス」はこの輪のなかには入っていません。うっかり一周して有効になってしまわないよう、意図的に・別の手順でオンにする必要があります。次の見出しで説明します。
「許可をバイパス」モードとは
その名のとおり、すべての許可確認を飛ばして動くモードです。ファイル編集もコマンド実行も、いっさい確認なしで進みます。起動方法は主に次の2つです。
あるいは、起動後にモード切替のメニューから「Bypass permissions(許可をバイパス)」を選びます。いずれの場合も、「危険を承知で確認をスキップします」という警告が一度表示されます。それに同意して、はじめて有効になります。フラグ(起動時に付ける指定)の名前そのものが dangerously(=危険なほど)で始まっているのは、開発元からの「これは特別な設定です」という意思表示です。
メリット ― どこが嬉しいのか
- とにかく速い・止まらない。 何十回も確認が出るような長い作業を、最後まで一気通貫で任せられます。
- 放置で完了できる。 席を立っている間も、確認待ちで止まらず作業が進みます。夜間バッチや一括処理のような“まとめ仕事”と相性が良い。
- 自動化に組み込みやすい。 スクリプトやCIなど、人が画面の前にいない前提の処理で、確認待ちによる停止を避けられます。
リスク ― 何が起こりうるか
- 取り返しのつかない操作が無確認で走る。 ファイルの削除・上書き、設定の変更などを、こちらが気づく前に実行してしまう可能性があります。
rm一発でフォルダごと消える、といった事故が「確認なし」で起こりえます。 - 外部に影響が及ぶ。 本番環境へのデプロイ、外部APIの呼び出し、メール送信、課金の発生——画面の外側に出る操作も、止まらず実行されます。消すだけでなく「送ってしまう」「公開してしまう」のも同じくらい怖い。
- 誤指示・誤解釈がそのまま結果になる。 こちらの指示があいまいだったり、AIが意図を取り違えたりしても、確認で気づくチャンスがありません。人間のレビューが入る前に、行動が完了している状態です。
使うなら、こう使う ― 責任を自覚した条件付きで
結論として、「許可をバイパス」は禁止すべき機能ではありません。ただし、事故っても被害が出ない場所に限って使うのが大前提です。次の条件をできるだけ満たしてから使ってください。
- 捨ててもいい隔離環境で。 本番や大事な個人環境では使わない。専用の検証マシンや使い捨てのコンテナ(Docker など)、サンドボックス内に限定します。
- 必ずGitなどで戻せる状態に。 変更前にコミットしておけば、暴走しても
gitで巻き戻せます。「いつでも元に戻せる」ことが安心の土台です。 - 権限とネットワークを絞る。 本番の認証情報やクラウドの強い権限を渡さない。不要ならネットワークを遮断し、「外に手が届かない」状態にしておく。
- 作業範囲を小さく区切る。 影響が及ぶフォルダ・対象を限定し、「ここから先は触れない」範囲を物理的に作っておきます。
- 結果は人が確認する。 速く終わっても、最終的な確認責任は使う人にある。差分(diff)に目を通してから次へ進めます。
まとめ ― ブレーキの強さを、場面で選ぶ
- Claude Code の確認は Shift+Tab で「通常 → 編集を自動承認 → プラン」の3段階に切り替えられる。日常はこの範囲で十分。
- 確認は「全部かゼロか」ではない。許可した操作は記憶され、次から黙って通る。まずはモード調整で快適にできないか考える。
- 「許可をバイパス」だけは別格。ブレーキそのものを外す設定で、
--dangerously-skip-permissionsなど意図的な手順でしか有効にならない。 - メリット(速い・止まらない)は、そのままリスク(間違いも止まらない)の裏返し。削除・上書き・外部送信が無確認で走りうる。
- 使うなら隔離環境・Gitで復元可能・権限とネットを制限。そして最終責任は使う人にあることを忘れない。
権限モードは「速さ」と「安全」のつまみです。雑な下書きならブレーキをゆるめ、大事な環境ならしっかり踏む。場面に合わせてブレーキの強さを選べるようになれば、Claude Code はぐっと頼もしい相棒になります。