データ処理の世界で、「ETL」から「ELT」へという考え方の変化が起きています。順番が一つ入れ替わっただけのようですが、その背景にはクラウドの普及という大きな変化があります。本記事では、ETLとELTの違いと、中小企業にとっての意味を、非エンジニア向けに解説します。
ETLとELTとは何か
ETLもELTも、複数の場所からデータを集めて整え、分析できる場所に届ける処理の流れを指します。違いは順番です。ETLは「抽出・変換・格納」、ELTは「抽出・格納・変換」の順で処理します。
簡単に言えば、ETLは整えてから貯める、ELTは貯めてから整える、という違いです。データを取り出し、加工してから保管庫に入れるのがETL、まず保管庫に入れてから加工するのがELTです。
従来のETLの考え方
従来主流だったETLは、データを保管庫に入れる前に整えます。保管庫の処理能力が限られていた時代には、あらかじめ整えてから入れることで、保管庫の負担を抑える合理性がありました。
ETLでは、保管庫に入るデータは整えられた状態です。きれいなデータだけが格納される反面、変換の処理を保管庫の外で行うため、別途その仕組みが必要でした。これが従来のデータ処理の基本形でした。
なぜELTが広がったのか
ELTが広がった背景には、クラウドの普及があります。クラウドの保管庫は処理能力が高く安価になり、大量の生データを貯めて、その場で加工することが現実的になりました。整える前に貯めても、保管庫が十分処理できるのです。
この変化により、まず生データを貯めて、必要に応じて保管庫の中で加工するELTの利点が活きるようになりました。生データを残せるため、後から別の加工もでき、柔軟性が高まります。クラウドが処理の考え方を変えたのです。
ELTの利点
ELTの利点は、まず生データを貯めるため、後から自由に加工し直せることです。当初想定しなかった分析が必要になっても、生データが残っていれば対応できます。柔軟性の高さがELTの強みです。
また、生データをそのまま取り込むため、取り込みの仕組みがシンプルになります。変換を後で行うことで、取り込みと加工を分けて考えられ、全体が管理しやすくなります。これらがELTが好まれる理由です。
ELTの注意点
一方、ELTにも注意点があります。生データをそのまま貯めるため、保管するデータ量が増え、管理を怠るとコストが膨らみます。また、加工前の生データには汚れも含まれるため、加工の段階での品質管理が重要になります。
ELTは柔軟ですが、その柔軟性は規律とセットで活きます。何でも貯められるからと無秩序に溜め込むと、管理しきれなくなります。ELTを使うなら、データの整理と品質管理の意識が欠かせません。
中小企業にとっての意味
中小企業にとって、ETLとELTのどちらを使うかを技術的に深く悩む必要はありません。多くのクラウドサービスは、これらの処理を比較的簡単に組める機能を提供しています。重要なのは、自社のデータ処理がどう流れているかを理解することです。
クラウドを使うなら、自然とELT的なアプローチになることが多いでしょう。難しい用語に身構えず、「データを集めて、貯めて、整える」という基本の流れを押さえておけば十分です。技術の詳細は専門家に任せられます。
用語より「流れ」を理解する
ETLかELTかという用語そのものより、自社のデータがどこから来て、どう加工され、どこへ届くかという「流れ」を理解することが大切です。流れが分かっていれば、問題が起きたときにも対応できます。
データ処理の全体像を、非エンジニアの担当者や意思決定者も把握しておく。これが、技術者任せにせず、データを組織で活かす土台になります。用語の暗記ではなく、流れの理解を目指してください。
処理の自動化と保守
ETLでもELTでも、データ処理を自動化すれば、手作業の集計から解放されます。ただし、自動化した処理は、元データの仕様変更などで止まることがあります。誰が保守するかを決め、止まったとき気づける仕組みを用意することが大切です。
処理の考え方がETLかELTかにかかわらず、自動化には監視と保守が伴います。作って終わりにせず、動き続けることを見守る。この運用の視点が、データ処理を安定して活かす条件になります。
変化に振り回されない
ETLからELTへの変化のように、データの世界では新しい考え方が次々と現れます。これらに振り回される必要はありません。大切なのは、流行を追うことではなく、自社の課題を解決することです。
新しい考え方が自社の課題解決に役立つなら取り入れ、そうでないなら見送る。技術の変化を冷静に見極め、自社にとっての価値で判断する。この姿勢が、変化の中でも着実にデータを活かす道になります。
ETLとELTを理解するチェックリスト
- 自社のデータ処理の流れを把握しているか
- クラウドを使う前提で考えているか
- ELTを使う場合のデータ量とコストを意識しているか
- 加工段階での品質管理を考えているか
- 用語より処理の流れの理解を重視しているか
- 処理の自動化に監視と保守を用意しているか
よくある質問
Q. ETLとELTの違いは何ですか。
A. 処理の順番です。ETLは整えてから貯める、ELTは貯めてから整える。抽出・変換・格納か、抽出・格納・変換かの違いです。
Q. なぜELTが広がったのですか。
A. クラウドの普及です。保管庫の処理能力が高く安価になり、生データを貯めてその場で加工することが現実的になりました。
Q. ELTの利点は何ですか。
A. 生データを残すため後から自由に加工し直せる柔軟性です。想定外の分析が必要になっても生データがあれば対応できます。
Q. ELTの注意点は。
A. 生データを貯めるためデータ量が増え、管理を怠るとコストが膨らみます。加工段階での品質管理も重要になります。
Q. 中小企業はどちらを選ぶべきですか。
A. 技術的に深く悩む必要はありません。クラウドを使うと自然とELT的になります。自社の処理の流れの理解が重要です。
Q. 用語を覚える必要がありますか。
A. 用語より、データがどこから来てどう加工されどこへ届くかの流れの理解が大切です。流れが分かれば問題にも対応できます。
Q. 処理は自動化すべきですか。
A. 自動化すれば手作業から解放されます。ただし元データの仕様変更で止まることがあるため、監視と保守の体制が必要です。
Q. 新しい考え方は追うべきですか。
A. 流行を追う必要はありません。自社の課題解決に役立つなら取り入れ、そうでなければ見送る冷静な見極めが大切です。
Q. ELTだとデータが汚れませんか。
A. 生データには汚れも含まれます。だからこそ加工段階での品質管理が重要です。柔軟性は規律とセットで活きます。
Q. 技術の詳細は誰が担うべきですか。
A. 専門家に任せられます。非エンジニアは処理の全体像を把握しておけば十分で、技術者任せにせず組織で活かす土台になります。
まとめ
ETLからELTへの変化は、クラウドの普及を背景に、整えてから貯めるか、貯めてから整えるかという処理の順番の転換です。ELTは生データを残せる柔軟性が利点ですが、管理の規律が欠かせません。
中小企業は用語に深く悩む必要はなく、自社のデータ処理の流れを理解することが重要です。クラウドでは自然とELT的になります。技術の変化を冷静に見極め、自社の課題解決を基準に判断してください。
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